2018/02/10(土)

朝食を済ませ、日焼け止めと虫除けを塗ってから、迎えの車に乗ってツアーに参加。街を出て遺跡に向かう途中で、アンコール入場券を購入。1日券の値段が昨年20ドルから37ドルに値上がりになっていて、物価の安いカンボジアだとかなり高く感じる。1日券を2枚買うよりも安い3日券を購入したが、券種別になっている窓口は1日券用窓口よりも空いていた。なお、カンボジアの通貨はリエルだけど、事実上通用しているのは米ドル紙幣となっている。街中でも値段は全てドル表記で、1ドル未満のコインの代わりにリエル紙幣が使われている程度。そもそも日本国内ではリエル紙幣には両替出来ないらしい。通常だとツアーの最初に「アンコール・バルーン」という熱気球(地上からロープで繋がれて上下方向に単純往復)に乗って、遺跡を上から眺めるオプションがあるのだけど、昨年末から運休になったままとのこと。

アンコールトム

チェックポイントを通過して遺跡エリアに入り、アンコール・ワット(Angkor Wat) の環濠を回り込み、アンコール・トム(Angkor Thom)の南大門の前で車を降りる。四方位の門の中では最も保存状態が良く、環濠に架かる端の両側には、蛇を引く阿修羅と神々の群像が残っている(一部は修復)。濠には昔ワニがいたらしいが、一度干上がったため現在はいないとのこと。ヒンズー教と仏教が習合していて、門の上の四方位の像は、ブッダとヒンドゥー三大神(ブラフマー、ヴィシュヌ、シヴァ)を表すのだとか。橋を渡って門を潜ったところで、再び車に乗って遺跡内を移動。アンコール・トムは、一辺が3kmもある広大な遺跡なのである。遺跡の中心部にあるバイヨン(Bayon)に到着し、参道を歩いて第一回廊のレリーフ(浮彫)を見学した後、中庭を通ってテラスへの階段を登る。上階テラスには立ち並ぶ塔の周囲に多数の仏像や神像が刻まれている。一旦自由行動となったので、多くの観光客で混雑する中、写真を撮りながらテラスを一周。バイヨンを出た後は、ピラミッド型遺跡のバプーオン(Baphuon)を参道入口から眺め、「象のテラス」の前を通って車に乗り込み、"綱渡りの塔"という別名があるプラサット・スゥル・プラット(Prasat Suor Prat)を見ながらアンコール・トムを後にする。見学したのは遺跡内の一部に過ぎないが、全てを見て回ろうとしたら2日は掛かるらしい。

タプロム

続いて訪れたのがタ・プロム(Ta Prohm)。ここは森に埋もれつつある遺跡として知られ、ガジュマルや黒檀などの巨木が敷地内の各所に生え、一部は建物の屋根に覆いかぶさる形になっている。アンコール王朝時代は、代替わりの度にヒンズー教と仏教が入れ替わったり、両方が許容されたりしたとのことだが、この遺跡では仏教様式で造られた後にヒンズー教に変わったため、砂岩の壁面の仏像は悉く削り取られている。崩落した回廊の外側を周って、内部の見学ルートに入る。この遺跡でも観光客が多かったけど、もっと混雑している時は写真を撮る隙間もないくらいになるらしい。午前の見学を終え、シェムリアップ市内の土産物屋に立ち寄ってから昼食。創作クメール料理のプレートで、日本のクメール料理店監修とのことなので、地元料理が日本人向けにアレンジされているのかな。

アンコールワット

午後はいよいよアンコール・ワットへ。アンコール遺跡群は通常、正面が東を向いているが、アンコール・ワットは西向きのため、順光となる午後の見学が定番となっている。そのため午前中の方が空いているとされているが、最近午前中は団体客が多いらしい。環濠の端から眺めると、西塔門の横長な建物が水面に映り、宇治の平等院を連想してしまった。濠の中央の参道の堤は5年間の修復工事に入っているので、水面に浮かべた仮設橋を渡る。中央付近の門を通って中庭に入ると、長く伸びた参道の奥に5本の塔を頂く中央祠堂が見える。経堂付近で参道を外れ、聖池を回って北西隅から第一回廊に上る。回廊を取り巻くレリーフは、建物の内側にあって保存状態がかなり良い。回廊を半周してから第二回廊に進み、足早に第三回廊の入口を目指す。300名の人数制限があるため、場合によっては30分以上待たされるらしいが、タイミングが良かったのか殆ど待たずに済んだ。急な階段を登って回廊内部を見学し、周囲の景色を眺める。今の外付け木製階段でも下りは結構怖いのに、以前は遺跡の石段の端を使っていたとのことで、その場所を下から見上げるだけで目が眩みそうになる。第二回廊近くから中央祠堂を正面側から見上げると、一際荘厳さ打たれる。"千体仏の回廊"を意味するプリヤ・ポアン(Preah Poan)を通って、17世紀にこの場所を訪れた日本人が残した文字を見てから、第一回廊に戻る。帰りに通った端の門は、象が通れるサイズになっている。今は乾季で一年で一番涼しい時期とはいっても、昼間の気温は30℃を超えるので、遮るもののない敷地を歩いていると、かなり暑くなる。

プノンバケンの夕日

ほど遠くないプノン・バケン(Phnom Bakheng)の入口前に車で移動し、林の中の道を上り始める。ずっと木陰の中なので、思ったよりも過ごしやすい。丘の上にあるプノン・バケンはピラミッド型の遺跡で、現在一部修復中でクレーンが設置されている。夕日の名所なので多くの観光客が訪れるが、300名の人数制限があるので、確実に中に入るためには相当早く来る必要がある~ということで3時間前に到着。まだ暫くは大丈夫そうだったので、付近を少し散策してから入口近くのベンチで休憩し、そろそろ人が増えてきたところで中に入る。遺跡の上からは全方位が見渡せるが、すぐ近くのアンコール・ワットやアンコール・トムは木々に隠されている。日没までは2時間以上あったので、東側の日陰に腰掛けてじっと待つ。ようやく日が傾き始めた頃に西側に移動し、遠くの森の向こうに沈む夕日を眺める。折角なので遺跡のシルエットと一緒に撮影してみる。地平近くは靄に覆われていたので、沈み切る前に太陽は見えなくなりそうだったので、混雑している階段を下りる。遺跡には入れない場合でも、近くの展望デッキから夕日を見ることはできるようである。坂を下る頃には暗くなり始めていたが、歩くのに困る程ではなかった。

シェムリアップ中心部に戻って、夕食会場へ。ビュッフェ形式だったけど、食べ過ぎないように注意。会場内はかなり混雑していたけど、なんとか開演時間までにデザートを済ますことが出来た。食事の後は席に座ったままカンボジア舞踊を鑑賞。アプサラ・ダンス(天女の舞)の他、ココナッツ・ダンス、フィッシング・ダンス、バンブー・ダンスという演目で1時間弱。終了後はホテルまで送って貰って一日ツアーが終了。すっかり遅くなったので、シャワーを浴びてから速やかに就寝。