2019/03/21(木)

クアラルンプール空港ではサテライトに到着したので、メインターミナルまでは自動運転の「エアロトレイン」で移動することになるのだけど、到着便が重なっていたのか、日本のラッシュ時並みの混雑となる。入国審査を済ませて荷物を受け取り、税関を経て到着ロビーに出ると、出迎えの札を持った係員がすぐに見付かる。航空会社系の送迎付きフリーツアー(ホテルのみ)を手配したので、全員が揃うのを待ってから出発して、市内のホテルを何箇所か回ることを覚悟していたのだけど、他に客がいなかったので即出発となる。空港から市内まで43km。深夜で渋滞がなくても、高速道路経由で40分以上掛かる。午前1時半頃、市内随一の繁華街ブキッ・ビンタン(Bukit Bintang)に到着し、ホテルにチェックインして部屋入り、ネットに繋いで到着をつぶやいてからすぐに就寝。

目が覚めたのは午前5時頃。日本との時差は1時間なので、結局いつもと同じくらいの起床時間ということになる。これだけだと圧倒的な睡眠不足となるところだけど、機内でだいぶ眠っていたので、合計すればそこそこ寝ていることになる。朝食を済ませて準備を整えてから市内観光に出発。今日の天気予報は朝のうちが晴れで、午後からにわか雨となっていたので、まずは展望台に行くことにする。最初の移動はバスが便利そうだったので、交差点を渡って停留所に向かう。事前に聞いていた通り、歩行者信号が青になる時間が極端に短くて30秒もない。時間が長めになる時もあるようだけど、どういうシステムになっているのかよく分からない。今回利用したのはGOKLという無料循環バス。赤、青、緑、紫に色分けされた4系統があるのだけど、車体はいずれも紫で、方向字幕に”RED LINE"と色無しの文字で示されるだけだから、車体が近付いてからでないと見分けが付かない。停留所には“あと何分”という接近表示があっても、渋滞なのかなかなか数字が減らず、到着するのは違う系統ばかり。ようやくやって来た青系統に乗って、3つ目の停留所で下車。歩いても大した距離じゃなかったのだけど、暑いし大通りを渡るのも大変そうだったので。

KLタワー

ガイドブックの地図を見てこちらかなと歩き出したら、道は途中で行き止まりになる。あれっ、と慌てて周囲を見ながら現在地を確認したら、どうやら地図上のバス停の位置が実際とは違っていたことが判明。角にある駐車場を目印に、一つ南の通りに入るのが正解だった。少し歩いてちょうど発車するところだった送迎シャトルに乗り込み、丘の上にあるKLタワー(KL Tower)の足元へ。券売機でチケットを購入して、エレベーターに乗って高さ276mのスカイデッキに出る。遮る物のない屋外で360度の展望が~といっても、デッキの一部区画がカフェになっていて営業時間前らしく入れない。また、晴れているとはいっても若干靄が掛かっていて、特に逆光となる東や南の方向は霞んでいる。ツインタワーはこの角度だと重なって見える。それにしてもクアラルンプールに来たばかりなので、方角は分かってもどこがどの辺りなのか見当が付け辛い。暫くうろついて、なんとか歴史的建造物のある区画が識別出来た。長時間待ちが発生するというスカイキューブも、この時間だとさすがに空いていて、殆ど待たずに入ることが出来た。荷物を置いて靴を脱ぎ、デッキから張り出した空間を3分間占有出来る。といっても景色が極端に変わる訳ではなく、足元を含めて5方向が透けているという特別な感覚を味わうのが主となっているようである。スカイボックスは人気の北側だけでなく南側も空いていたが、片側を体験すれば十分だろうとういうことでパス。帰りは中程の屋内展望台でガラス越しに360度の景色を眺めてからエレベーターと送迎車で麓に降りる。

イスラム美術館

次の移動は比較的短距離だけど、無料だから気軽に利用できるということで、GOKLバスの青系統で一つ隣のLRTのダン・ワギ(Dang Wangi)駅へ。券売機でトークン(コイン型乗車券)を購入して、改札でタッチして地下ホームに降りる。LRTというと路面電車の高速型を想像するけれど、やって来たのは普通の地下鉄と変わらない列車。地上に出て高架線を走り、2つ目の中央市場(Pasar Seni)で下車。高架橋でクラン川を渡ってクアラ・ルンプール駅に降りようとしたら、工事中だったため迂回して、駐車場を経由して地下道で大通りを渡る。公開時間の都合上、まずは国立モスク(Masjid Negara)を訪れる。比較的新しい建築とはいえ、50年以上経っている。靴を脱いで2階に上がり、礼拝堂の手前まで行けるようになっている。続いて訪れたのが、近くにあるマレーシア・イスラム美術館(Islamic Arts Museum Malaysia)。その名の通り、イスラム文化圏の美術専門で、世界各地のモスクの模型や、宗教用具、書道作品、服飾や絨毯、貨幣や武具など展示は多岐にわたる。昼食は館内のレストランで中東料理、ということで仔羊のローストを注文。

川の合流点

美術館を出てクアラ・ルンプール駅舎や、その向かいにあるマレー鉄道事務局の風格ある建物を見学。現在の中央駅としての役割は、2001年に開業した隣のKLセントラル駅に移っている。ここから次の目的地まで、GOKLバスで行けないこともないのだけど、隣の停留所までで歩く距離も半分くらいにしかならないので、そのまま大通り沿いに歩き通す。高架道路を潜って国立繊維博物館のレンガの建物が見えて来ると、その斜め向かいがムルデカ広場(Dataran Merdeka)。ムルデカは“独立”の意味で、1957年にマラヤ連邦の独立宣言が行われた場所。マレーシア国旗のはためく掲揚塔は、高さ100メートル近くある。途中で小雨が降り出したけど、国立繊維博物館と同じく英国様式のスルタン・アブドゥル・サマド・ビル(旧連邦事務局ビル)の前を歩いて、広場の北側にある聖メアリー教会を訪れる。こちらも英国式で19世紀の建築。断続的に小雨が続く中、ゴンパック川畔の遊歩道を歩き、クラン川との合流点を望む場所に出る。クアラルンプールの地名は、“泥の川の合流点”を意味するマレー語に由来するので、ここがまさにクアラルンプール発祥の地ということになる。付近を散策して時間調整してから、合流点のすぐ北に位置するマスジッド・ジャメ(Masjid Jamek)を訪れる。100年以上の歴史がある市内最古級のモスクで、合流点に面したテラスを経由して、イスラム様式の庭園まで回る。

チャイナタウン

クラン川を渡って、チャイナタウンへ。セントラル・マーケットに入ると、正面入口付近で伝統舞踏ショーをしていて、人集りが出来ていた。建物の中を見て回ると、扱っている商品は土産物が殆どだった。チャイナタウンのアーケード街や路地を散策した後、関帝廟を訪れる。次の訪問場所に行くにはまだ早かったので、もう一度アーケード街に行ってみたら、夕方に向けて屋台が一斉に開店準備をしていた。広めの通路でも屋台が埋め尽くしていたので、夜は凄い混雑になるのだろう。ようやく時間になったところで、ヒンズー教のスリマハマリアマン(Sri Mahamariamman)寺院を訪れる。今日訪れた2箇所のモスクを含め、宗教施設は1日のうちで公開時間帯が限られていることが多いので、時間調整が必要になる。他の宗教施設と同様、ここでも靴を脱ぐ必要があるのだけど、門の外にある隣のカウンターに預けてから戻ることになる。境内を一周してから近くにあるGOKLバスの紫系統に乗って、ブキッ・ビンタンに戻る。宿に戻って靴を脱いだ時に濡れた靴下を履き変えてから、ガイドブックに載っていた店で早めの夕食。ルンダン・トック(ビーフのココナツ&スパイス煮込み)を注文したら、黒い皿に暗い色の料理が載って来たので、写真に撮っても何が何やら。出来れば付け合わせが欲しかったかな~と言いつつ、デザートにクリームプティングを注文。今日は午後から小雨が降ったり止んだりで、遠くで雷も鳴っていたけど、結局本降りになることはなかった。東南アジアでも緯度がもう少し高いと、雨季、乾季、暑季とはっきり分かれているのだけど、赤道に近いクアラルンプールは年間を通じて同じような気候らしい。