2024/11/18(月)

ロシア語で「小春日和」のことを"бабье лето"(女の夏)というが、同種の表現は他のスラブ語にもあるらしい。由来として“女たちが外に出てお喋りをするから”という説がある模様。"бабье"を「老婦人の」と紹介するサイトもあるが、「既婚夫人の」くらいの意味らしい。ドイツ語で「小春日和」は"Altweibersommer"(老婦人の夏)になるが、この語には「蜘蛛の糸・巣」の意味もあるらしい。これには"Weib"は"Spinnwebe"(蜘蛛の巣)の方言形ではないかという説もあるのだとか。英語にも「小春日和」として"old wives' summer"という表現があるが、キリスト教歴由来の"All Saints' summer"や"St. Martin's summer"、北米由来の"Indian summer"というのもある。

いろいろ調べてみたが、“老婦人の夏”は欧州で広く用いられている表現のようで、特定の地域から広まったという訳でもなさそうである。ドイツ語以外でも、“老婦人の夏”と“蜘蛛の巣”が関連していることもあるようだが、“小春日和の頃に蜘蛛の巣が光って白髪のようだから”と説明されるのだとか。一方、英語の"gossamer"という語は"goose summer"(ガチョウの夏)に由来していると言われるが、元は「小春日和」だったのが、意味が転じて「蜘蛛の巣、薄織物」になったのだとか。これも「小春日和」と「蜘蛛の巣」の関係の一例だろうか。なお、小春日和はガチョウを食べる季節だったらしい。