2011/01/23(日)

宿を出て空港のロッカーに荷物を預けてから、売店で自転車を借りる。島の西部は昨日のうちに訪れたので、まずは南部にある峠道を目指す。喜界島の南東岸は切り立った崖が続き、島全体がそちらに向かって傾斜しているので、北岸の集落を抜けて進路を南に転じてからは緩やかな上り坂となる。峠の手前で山道に入り、途中何度か自転車を押して歩きながら、浦原の展望台に到着。そこからは島の南西部が見渡せるが、どんよりと曇っているのでコントラストが低い。今日は一日中曇りという予報だから仕方がないことなのだけど。そこから台地の縁を進むとすぐに、中西公園が見えてくる。公園の端にはアタデノハナという崖から突き出した展望所があったのだけれど、崩落の危険があるため立入禁止となっていて、代わりに近くの築山から南岸の景色を眺める。

百之台公園より

もう一頑張りでさらに坂を上り続け、最高地点(標高211m)の七島鼻へ。頂上付近はなだらかな広場になっていて、戦時中のレーダー施設の跡も残されている。現地にあった解説文によると、この辺りは毎年2mmもの速度で隆起し続けているらしい。南側だけでなく北西側も少し開けているので各方向の写真を撮っていたら、いつの間にか西側の空の雲が少なくなっていて、時折日が射すようになっていた。この場所でもう少し待っていたらもっと景色が良くなるのだろうけど、帰りにまたすぐ近くを通ることになるので、そのまま百之台公園の中を進み続ける。七十七曲りの降り口を過ぎた辺りに展望台施設があるはずなのだけれど、それらしい物が見当たらない。念のためもう少し先に行っても見付からなかったので、北西側に視界が開けている何カ所かで撮影してから、元来た道を引き返す。

阿伝珊瑚石垣

天気は急激に回復して空から雲がなくなると、肌寒さから一転して暑さを感じるようになる。再び七島鼻に立ち寄ると、麓の海の色も鮮やかさを増している。少しだけ寄り道して浦原展望台と中西公園を再訪してから、麓に続く急坂を下りる。その途中に巨大ガジュマル群があり、カーブ外側に2本が寄り添う夫婦ガジュマルの他、内側にも巨木がすぐに見付かる。森の中にあるためやはり撮影は難しく、全体を写そうとしても他の木との境が分からない。麓まで下りて海沿いの県道を北に向かうと、最初の集落がサンゴの石垣で知られる阿伝である。沖縄で見られるサンゴの石積みよりは高さがあり、独特の風景となっている。散策マップも掲示されていたけれど、ここまで来るのに予想以上に時間が掛かってしまったので、県道近くの何カ所かを見学しただけで集落を後にする。

トンビ崎

次の嘉鈍の集落は、サンゴの石垣の上にブロックを積んだ折衷型が多かったが、島の他の場所でも何度か目にすることになる。県道から少し外れた所にあるソテツの大木を見に行った後は、次第に低くなる崖に沿って再び北西に進み続ける。早町漁港の傍を通り過ぎ、志戸桶漁港の近くで県道を離れて北岸に向かう。道が入り組んでいて少し分かりにくかったが、程なく志戸桶海水浴場に辿り着く。小さな入り江になっていて、海辺には「平家上陸の地」の碑がある。その先の内陸側にある小さな灯台には気付かないまま自転車を走らせ、喜界島北端のトンビ崎に到着。海岸線は石灰岩に覆われていて、その外側の海は青々としていたが、波が荒かったので波打ち際から少し離れた所までで引き返す。

「ハワイ」と名付けられたビーチ、小野津漁港を経由して島の北西岸を辿り、坂嶺から県道に入る。空はいつの間にか雲に覆われていて、空港近くに戻って来たときには再びどんよりとした天気になっていた。滑走路の北側に回って、空港臨海公園のゴルフ場を過ぎたところで、鹿児島からの便が昨日とは逆向きに着陸。時間にだいぶ余裕が出ていたので、滑走路の端付近にあるスギラビーチで暫く休憩。喜界島は奄美大島や徳之島より小さいとはいえ、与論島よりも大きいので少し急ぎ目に回ったのだけど、見所や上り坂が前半に集中していたため、予想よりもかなり早く一周出来てしまった。これなら内陸側の見所にも立ち寄る時間はあったのだろうけど、島の北部にいる頃もまだ遅れ進行だと思っていたのだから仕方がない。

昼前後の好天が続いていたら、昨日景色が今ひとつだった荒木海岸にもう一度行ってたところだけど、空は相変わらずどんよりと曇っていたので、早めに空港に戻って自転車を返却。昼は携行食だけだったので、食堂で軽く食べてから出発時間を待つ。小さな空港なので、保安検査を受けたらすぐに建物の外に出て、駐機スポットまで歩くことになる。奄美大島まで往復して来た機材に乗り込み、喜界空港を後にする。薩南諸島は雲に覆われていて、夕日は雲海の中に沈んで行った。九州本土側も天気が悪く、小雨の鹿児島空港に到着。一旦外に出てカウンターでプレミアムクラスに変更してから、売店で買い物を済ませて搭乗待合室へ。往復ともアップグレードしてしまったけれど、足が疲れていたので広めのシートが有難い。羽田から順調に乗り継ぎ、秋葉原で区間快速を見送って次の快速で帰宅すると、つくばも小雨模様だった。